生物と無生物の間

タイトルからして既に面白そう。
夏休みなのでいろいろと本をよんでいた。
ただ基本的に小説派なので新書にはあまり手を出さない。
というか手を出しても挫折する。

今年の八月は
エイジ、西の魔女が死んだ、フォーティーン、と
子どもが主役のやつばっかり読んで感傷的になっていた。
なぜ夏休みになるとこの手の本ばかり読んでしまうのか。

本屋の広告に踊らされているのか。
よくは分からないけれど、夏といえば、と思って読んでしまうのだな。

さてタイトルの本の話へ。

この本は生物(まさに生き物)と無生物(石とかそういうの)
がどこで分かたれるのかを最大のテーマに生物学上の四方山話を
織り交ぜてエキサイティング(ほんとうにエキサイティングに!)展開されていく。

中でも、とびっきりに面白いのは動的平衡という概念が提唱される章。

序章で生物とは自己複製すること、と定義しただけでは不十分とした
著者が生物を規定する新たな条件を紹介する。

当たり前のことだけど、僕らの体は原子から構成されている。
肌も骨も歯も腸も脂肪も細胞もすべて元を正せば原子から構成されている。

細胞が半年くらいで全部新しいものに入れ替わるのは有名な話だけれど
この原子はどうなんだろう。やっぱり細胞が入れ替わるのだから
原子も入れ替わるのが普通だろうか。
じゃあそれは一体どれくらいのスピードで?

そんな内容を取り扱ったのが前出の動的平衡の章だ。
ここを読むと自分の体を見る目が変わると思う。

ちょっとしたミステリーよりはよっぽどエキサイティングに
生物と無生物を分かつ何かが語られていく。
この夏お勧めの一冊ですよ。

ってなんで宣伝文句みたいな文書になってしまったのかしら。