ミナペルフォネン

ミナを着て旅に出よう (仕事と生活ライブラリー)

ミナを着て旅に出よう (仕事と生活ライブラリー)

を読んでみた。

最近継続して読んでいる
松浦弥太郎の仕事と生活ライブラリーシリーズのひとつで、
知っている人は知っている
白金のmina pherphonen(いんちきスペル)
のデザイナー皆川明の本。


完全に余談だけれど、
この人を前に青山のスパイラルでみて
思わずがん見したことがある
(相当不審な視線を返されました)。


でも思わずがん見するくらい
この人の洋服はステキ。
メンズのコレクションはあまり見たことがないけれど、
もし女の人に生まれていたら、
ここの洋服が似合うような人になりたいとすら思ってしまう。


全体像としてはこの人が現在の立場になるまでの足跡を
独白形式でつづった本で他のシリーズとおんなじ構成。


いつも通り筋は置いといてとくに面白かったところのみ。


すごく印象的だったのは「長く続ける・続けられる」
ということにすごく重きを置いているところ。
 僕らの(というか僕の)将来の夢だったり
仕事を決めるときの判断基準ってそれがうまくできるかとか
才能めいたものがあるかとか、
過去の実績とかに囚われることが多いように思う。
なんだけど、皆川はそういった戦略をとならない。


「その仕事に飽きずに長い時間をささげられるのか?」
このことを念頭においてデザイナーという職を選んでいる。
だからすぐに成果がでるとか、そういうことには囚われない。


「まぁ一生かけるんだしいいだろ最初くらいうまくいかなくて」、
くらいの余裕がある。
もともと陸上の長距離をずっとやっていた人で、
正直あまり才能に恵まれた選手ではなかったそう。
だけれど、なんとなく長くつづけていくうちに物になってきた。
その経験が皆川の上記の考え方を規定している。


全体を通して常にマイペースで、
でも上手くいかないことがあっても「そんなもんか」と
乗り越えていく姿はユルくて
でも、芯があってすごくかっこいいなと思った。


吉本隆明とか糸井重里とか、
いろんな人が言っているのだけれど、
10年続ければ何でも物になる、そうだ。
つまり成果を残すことと、
「長く続ける」ということは深く結びついているということ。
その証左として読んでみても面白いかも。


何より、この「長く続ける」という姿勢の持つ、
ゆるさ、力強さがすごく好もしい。
「成果とかそういうのは一度置いといて、まぁ進もうよ」、
そんな姿勢が結果的に
今の皆川の立ち居地を作ったと思うとすごくステキだなと思う。


この人が作る洋服もそんなある種
普遍的な力強さをもったデザイン。


本もステキだし洋服もステキ。
洋服は見るだけはただなので目黒にいった折には、
ぜひショップに寄ってみるといいと思う。

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